私は調合した茶色の液体のビンを指でなぞる。

しかめ面で、魔力を少し込めて…。

中の液体は、透明がかった赤色に変化する。


「ねぇ、マギー…。私のお母さんは、ウィッチ狩りから逃れられたから私が存在するのよね?」


「…また、その話ですか、姫。」

マギーは独身で子供は生まなかったそうだし、もう一人のウィッチは当時は幼かった28歳の青年だと聞いている。


「そうでなければ今ここに姫はいないでしょう?」

マギーはいつもと変わらぬ返答をした。


別に今の生活に不満はない。
もちろん満足しているし、感謝もしている。

ただ…、
自分の正体が知りたい。

今も尚、私の母の事は不明のままだ。
あれから、どこかで生きているのか。
死んでしまったのか…


「ウィッチ狩りで我が国ラルファの人口は本来の3分の2となり、その後、今から20年前の戦で大きなダメージを受け、人口は3分の1へ。ウィッチ狩り廃止から5年足らずの事でした…」


マギーは辛い過去を思い出すように遠くの壁を見た。


「それから現国王によって国は建て直され、それどころか、それまで以上に発展し……」

「…て、今は歴史の時間じゃないんですが…」


「ともかくっ!」