いくつもの分かれ道を経て、行き止まりになった。

分かれ道を迷わず進めば、サザエル全ての島へと行ける、何とも便利な地下道である。


しかし、目の前には、
『行き止まり』。


「先生?行き止まりだけど…。」

私が問うと、横で先生は目を伏せ、手のひらを岩の壁に当てた。

まだ、先生の髪は金色のまま。


「まぁ待ちなさい。本島へ行く前に、我が本拠地へご案内しよう。」

岩は、透明な緑色に優しく光り、すると一瞬のうちに壁はなくなった。


「――ぁ…!!」


そこには、レンガ造りの道が続いていた。
整えられた道に、生活感のある街灯。

全員がその道へと進むと、後方で再び岩の壁が姿を現す。


「…戻った。」

アズが振り返り、呟いた。


「反乱軍の証と意思がなければ、ただの岩さ。」

前へと足を進めながら、先生は言葉を続けた。


「君達でも、もう道は開かれるよ。意思は充分にあるし…」

「では、『証』は?昨日から魔術は使用してないだろう?リオン。」

キースが不思議そうに聞いた。

ふと先生は足を止めると、

「あ、アイリさん。」

振り返り、私を呼ぶ。
そして、私の手を握った。