その横で、俺の親友はすごいだろう?と言わんばかりに、キースは頷いていた。
…『先生』とお呼びしたいくらいだ。
そして、私は本人の承諾を得ないまま、そう呼ぶ。
「先生!どうしても2つの理由が分からないんですがっ!」
「せっ!?…そんな大層な事じゃないんだが…。まぁ、いいか。」
魔術の盛んなサザエルで、学ぶ事は沢山あるはず。
戦い慣れている、実際に魔術を使い慣れている人程、私が吸収出来る事は多いだろう。
「じゃあ、答えよう?腰抜かすな?」
「はい…」
「地下道といえば、道も水も、この方が風情があるからだ!」
「はい…?」
どんな素晴らしい理由が明かされるのか期待をしていた私たちは、ポカンと先生を見つめた。
「水は、真水。喉が乾いたら飲める!海水じゃあ飲めないだろう?」
「はい…」
それだけ…?
何と言葉を返したらいいものか、困っている私たちを尻目に、キースと先生だけは笑い合っていた。
大きな2人の笑い声が、地下道に響きながら先へと進んでいく。
うん…
『便利さの中にも、風情を忘れずに!』
人として忘れてはならない事だわ。
「先生、素敵です!」
私は、瞳を輝かせて2人の後を追った。

