片想いだったね



「かず?」



先輩が窓に駆け寄って、声をかけてきた泥だらけの野球部のユニフォームを着た男子と話す。







あ、沢先輩の彼氏だ。







「今、部室にタオル取りに行ったらお前の音が聴こえてよ。」


「聴こえたの?ていうかわかるの?」


「馬鹿にすんなよな。何年此処でお前の音聴いてると思ってんのよ。」


「あ〜ら、それはどうも。」


「真面目にやれよ、俺みたいになっ。ガハハハっ!」


「うるさいなぁ、早く部室に行きなさいよ。」


「わかってるよ、今日早めに上がるみたいだから部室で待ってるわ。」


「わかったよ、じゃあね。」


「あぁ。」







沢先輩が彼氏と会話をしてるのを、皆知らないフリをしながらも聞き耳をたてていた。



羨ましい。



ていうか憧れる。