「さぁ〜て、真面目なフリしてトランペットでも吹いてやるかな。」
「そうですよ先輩、私に指導して下さいよ〜!」
まっすが楽譜を悪戦苦闘しながら沢先輩に助けを求める。
「心で吹けっ!心で!」
「心の前に、楽譜が読めませんっ!!」
「下山さん、アンタ経験者でしょうが!私指導したくないから経験者を跡継ぎにしたのに〜。」
「「「「アハハハハハハッ」」」」
部室内の部員の笑い声。
沢先輩がいるだけで、こんなにも部室が明るくなる。
私もまたマウスピースの練習でもしようと、自分の席に戻る。
〜♪〜♪〜♪♪〜♪
〜♪♪〜♪〜♪〜♪
沢先輩のトランペットが部室に鳴り響く、綺麗な音をなめらかに出して、譜面の曲を吹いていく。
「お、今日は真面目に吹いてるのか。」
窓から聞こえてくる、男子の声。



