片想いだったね







そして地区予選前日。


顧問が運動部員が使う体育館を貸しきってくれて、一日中体育館で合同演奏をする。


明日が本番なのは実感が無い。


だけど緊張するのは確かだ。


と、演奏中に体育館のドアが開く音が聞こえて目線をドアの方に向けて、思わずトロンボーンを吹くのを止めてしまう。


隣に座っているまっすも同じく止まっていた。





「あ、そのまま気にしないで吹いて。」




重そうに段ボールを持つその人は、



沢先輩だ!!



顧問も思わず指揮を止めて演奏をストップさせる。



「あら、演奏止まっちゃったね。差し入れだよ~ん。」


私服を着た沢先輩が人数分のアイスを買ってきて、私とまっすは突然の訪問に嬉しくて思わず駆け寄る。


「「沢先輩。」」


「久しぶり。」


沢先輩は髪の毛を切っていて、更に大人っぽくなっていた。