「美紀~タンギングの練習しよ。」


まっすが金管メンバーを集めて基礎練をする。


いつもお遊び半分でわざとにメトロノームを早くして音の区切りの練習をしていたが、今日からは違う。


最初から曲の練習をしたいが、顧問に基礎はしっかり身に付けた方が良いと指示をされて皆キチンと従う。


後ろを振り向けば野球部が見える窓があるが、しばらく私は振り向くことは無いだろう。





あの時の唇の余韻は、楽器を吹いているのに忘れられない。















雨の中、傘も差さないからどんどん濡れていく。



「どうしてこういうことするの。」



「………わかんない。だけど、どうすれば良いのか俺だってわかんない。」



「みほちゃんのこと好きなクセに。」



「……………………。」




答えないのが答えということに、岬ッチは知らないの?