片想いだったね




卒業生退場が近くなってきたので私達はまた楽器のある場所に移動していく。


翼がまた私にニヤニヤしながらピースをしてくる。ハイハイと流しながら自分の待機場所で待つ。






この演奏が卒業生にとって最後の曲であり、別れとそして新しい日々への応援のメッセージソング。


入場とは違ってシーンとしているわけではなく、卒業生が興奮と歓喜でガヤガヤしながらの退場だ。


父母たちも泣きながらも笑って卒業生を見守る。


指揮者の顧問も楽しそうな顔と、そして少しだけ泣きそうな顔で指揮を振っていた。


列を乱しながら退場する卒業生達。




吹奏楽部の三年の先輩何人かと沢先輩が、演奏している吹奏楽部に向かってありがとう!と卒業証書を振り回している。


顧問が驚きながらも指揮を止めず、指揮棒を持っていない手でサッと手を上げて私達の代わりに返事をした。


涙を流す卒業生達と一緒に私達も泣きそうになった。