片想いだったね



卒業生が全員並び、私達の演奏もストップした。それぞれ自分の席に戻る。


目立たないように戻るつもりが、翼が相変わらず「美紀お疲れ~。」と、私に声をかける。


皆がクスクス笑って担任は翼を睨む。












卒業式の総練習もしているが、やはり本番は雰囲気が全く違った。


各クラス卒業証書を貰うと担任にサプライズでプレゼントをしたり、お礼を言ったり、泣きも笑いもあった。


在校生の歌を卒業生は、嬉しくも泣いて聴いている者が多くいて、卒業生の歌の時は三年の女子はほとんど泣いていた。


沢先輩も、

他の先輩も、



ハンカチを顔に当てていた。



その姿を、堪えきれない感情で、




こっそり涙が一粒頬をつたう。