片想いだったね







桜の蕾がポツポツ実る枝が、卒業生の旅立ちを晴天と一緒に祝う、今日のこの日。




前日から体育館に運んだ楽器と譜面台。



リハーサルはよく出来たねと、顧問が誉めてくれたと同時に沢達が居なくなるのは寂しいなと、部員皆でしょんぼりした。



卒業式当日、在校生や父母たちや来賓で体育館は満席だ。



そんな中で、体育館の隅で吹奏楽部は待機して始まりの時間を待つ。



緊張はするけど、


練習は沢山したよ。


ミスもしないよ。


大丈夫、大丈夫。


隣にトランペットを膝の上で持つまっすとへへっと笑いながら少しの変顔。


同じトロンボーンの担当の二年の先輩にも大丈夫だよと励まされる。








「卒業生、入場。」


アナウンスが流れて楽器を持ち、顧問の指揮を見つめる。


心の準備は出来た。






卒業生の為に。




沢先輩の為に。