片想いだったね



「あ~景子ねぇ。顔の通りキッツい性格してるよ。私は好きじゃないな。」


夜にかけるまっすとの電話。


「気のせいだと思うけど、睨まれながら言われた気がしてさ。」

「睨んでると思うよ。そういう子だから。」

「え~、こわっ。」

「だから何で翼が景子と噂になったかわからないんだよねぇ。多分だけど、自分で流したんじゃないかな?翼昔からあんな感じだから否定もしないし。」

「わかる気がする…。」

「嫌がらせとか普通にする子だからね。ま、翼と何も無い限り大丈夫だと思うけど。」





何も無い……。


確かに何も無い。


でも一緒にいることだけで面白くない気分もわかるんだよ。だって恋ってそういうものでしょ?


それに、




ちょっとだけ意識して悪い気にならなかったのも事実なんだもん。


「翼……、何で私に構うんだろう。」

「う~ん。お気に入りなのかなぁ?ま、チャラいけど面白い奴だし。」

「……カッコいいしね。」

「ん~?ん~?アレ?もしかして?」





「いやいやいやいや!!ちょっとだけだからっ!別にそんなんじゃないからっ!」


目の前に誰も居ないのに、電話の子機を持っていない手でブンブン手を振る。