〔おっせーよ。〕

『いやー、ごめんごめん。可愛い子探してたら時間かかっちゃったんすよー。』

〔初めましてぇ、ユミとミカでーすっ。〕


…間違いない。
へらへらしたこの話し方、無駄に高いテンション、ハルとかいうやつだ!!


〔ハル、お前ほんとすげーな。〕

〔二人ともやべぇ、その制服ってことは橋女?〕


カエルとナンパ野郎が目をらんらんとさせながら食いつく理由はすぐに分かった。山田くんが連れて来た二人の女の子は、可愛さよりも何よりも、女の私ですら驚いてしまうような巨乳であった。

カエルとナンパ野郎は女二人に夢中だ。これは抜け出すチャンスか?!

私はさりげなく荷物をまとめて、部屋から出ようとした。


『ん?あっれ?もう帰っちゃう感じなんすか?』

「んぇ?!あ、えーっと、そんな感じですね。」

『うっそ、残念だわ。あ、俺、同じ高校の山田春人!知ってる?』


知ってる?って...。なんなんだこの自信満々な感じは。なんだかムカつくけど、爽やかスマイルで言われたらなんとなく憎めない。


「えーっと、まぁ。それとなく。」

『それとなく?(笑)ウケんなーそれ!!っつーか先輩可愛いっすね、アハハ!!』

「え」


先輩?先輩っていうか、あたし、あなたのクラスメイトなんだけど。しかもアハハ!!ってなんだよ、バカにしてんのか。
まあ仕方が無い、同じクラスだといっても話したわけではないし、彼からしたら初対面みたいなものだ。
また爽やかスマイルをしながら『よろしくっ☆』という彼の顔を見ると、先輩ではないと否定をすることができず、私はそのまま帰宅した。