お願いだから、抱かないで




仕返しするつもりで来たのに、綾斗くんに気をとられて忘れてたわ。


ばらされたくないホントの理由は、綾斗くんにあたしの裏の性格が知られたくないからなのよね。


すると周りがキャーと甲高い声を上げた。


……なに?


「椎ちゃん徹也も知らないの?」


「徹也って言ったら学年一かっこいいじゃん!」


綾斗くんに聞いたつもりなのに、何故か周りが答える。


あいつ、そんなに有名だったの?


確かにかっこいいけど。


って違う違う!


なに敵を褒めてるんだ、あたし。


アイツは腹黒変態男。


綾斗くんに比べたら全くかっこよくないわ!


「そうなんだ、ありがとう」


一応お礼を言っとく。


ふーん。あたし、アイツのこと知らなすぎ?


名前だって知らなかったし。


「椎ちゃん?」


ボーッと考えてると綾斗くんの声が聞こえた。


だめだ、ダメ!


もう考えるのは止めよう。


あたしは笑顔で綾斗くんに答えた。



こんな姿を、まさかアイツに見られてたなんて、知らなかった。