イヤな予感はした。


ただ、断ったらサヤだからなにをするか分からない。


静かに分かった、とだけ伝えると「後でメールするねっ」と言ってその場を離れた。


――――……


「徹也遅いよぉ」


今日は映画に行く日。


腕を組みながら頬を膨らますサヤに、少し顔を歪める。


「で?話しってなに」


正直映画なんて乗り気じゃなかった。


ただ、椎の話が知りたかった。


「あぁー!椎ちゃんの話ね♪」


椎の話が出たとたんに笑顔になるサヤ。


だけど…目が笑ってない。


「映画見た後で教えるねっ。今教えたら徹也、帰りそうだし」


最後にニコッと笑って見せたサヤに、恐怖にも似たものを感じる。


こいつは分かってるんだ、俺が帰ることを。