お願いだから、抱かないで



でもアイツ――…椎は強がってそれを呑んだ。


ホントは綾斗が好きなくせに、俺の家に来た。


来てすぐベッドに潜り込んで震えてるし。


別にやるつもりはなかった。


ただ、キスの一つでも奪ってやろう。


それだけだった。


なのに“綾斗が好き”ってことと涙目で上目遣いで見つめてくる椎に理性がとんで、こうなった。



この気持ちがなんなのか気づくのに時間なんかかからなかった。