お願いだから、抱かないで



あの女のことを知るのは意外にも早かった。



「なあ徹也♪」


「んだよ」


「相変わらず不機嫌だなー」


久しぶりに授業に出ると、腐れ縁の祐輔がつまらなそうに肘をつきながら話を続ける。


「椎ちゃんって可愛いよなー。」


「知らねえよ」


「は?お前マジで言ってる?」


祐輔は目を見開いて俺に食い入る。


まるであり得ねー、そんな感じの顔。


「お前女と遊ぶくせに名前は覚えねぇよな。いいから来い」


そういうと腕を引っ張りどこかに歩き出す祐輔。


なんなんだよ…