お願いだから、抱かないで




なんて言えばいい?


視線を迷わせていると、不意に徹也と目が合った。


徹也はあたしを睨むように鋭い瞳で見ている。


…なによ。そんなにあたしが嫌い?


徹也の瞳があまりにも冷たくて、視線を思わず下げる。


―――嫌い


そうだね。


あたしの徹也に対する気持ちは、そうなのかもしれない。


こんなに苦しくなるのも、胸が痛くなるのも嫌いだから、


「椎ちゃん?」


ハッとして顔を上げると綾斗くんが困ったようにあたしを見た。


「ご、ごめん!」


あたしは謝って、なんて言おうか言葉を探した。