お願いだから、抱かないで







―――綾斗くん。


その声に“嫌な予感”とも似た感情を覚える。


声のした方向には、徹也と女の子がいた。


「さや…ちゃん」


そして、綾斗くんが静かに呟いた声も聞こえた。


綾斗くんとも知り合い?


そう思ったけど、“さや”と呼ばれた女の子のカバンについている見覚えのあるバッチに目が奪われる。


この子…同じ学校の子だ。


このバッチは、去年の文化祭でクラス売上がトップだったクラスが持ってるから。


色々聞きたいことがあるけど、上手く言葉が回らない。