お願いだから、抱かないで




「遅くなってごめんね」


そう小声で綾斗くんに言うと席に座る。


映画は大分進んだみたいで今はクライマックス。


横にあった飲み物を一気に喉に通す。


あたし一人でモヤモヤしてバカみたい。


そう思いながらもぼーっとさっきの出来事を思い出してしまう。