なんで? なんで聞いちゃいけないの? 正樹の背中を見ながら、そう思うことしかできなくて。 そう考えることしかできなくて、正樹と別れるときまでずっと、そのことしか頭になかった。 「……なぁ、菜々」 「…なに?」 駅のホームで、正樹はあたしにだけ聞こえるくらいの小さな声で言った。