海と桜の奏 ~Pure・Harmony~

壁づたいに体育館中に染み渡る、海のあり得ない位透明な歌声。


まるでハンマーでコツンと叩いたらパリンと割れそうな位、繊細で切ない美声。


『この気持ちに名前をつけるのであれば


私は迷わず“恋”とする――――……』


ピアノ演奏に集中しながらも、オレも海の歌声に聴き入る。


体育館にいる生徒が、またザワザワと騒ぎだした。


「え………何コレ……」


「コレが桐生さんの歌声………?」


「メチャクチャ上手くない?」


「上手いなんてもんじゃないよ!!プロ並みだよ!!桜土君のピアノも超上手じゃない!?」