海と桜の奏 ~Pure・Harmony~

俊哉が口をぎこちなく動かし、虎も唖然としている。


一方のオレは、更にワケが分からなくなっていた。


海が………音楽祭に出たくないって言った……?


まさか…あり得ない。


だって海には最初“どうしても嫌ならムリするな”言ってあるし、練習だって楽しそうに頑張ってた。


それに本番まで残り1週間なんだぞ?


なのに海が…今更そんな事言うワケが――――……


「分かってる……でもだけど…怖いんだもん」


蚊の鳴くように小さい、海の声。


しかしオレにはまるで耳元で言われたかの様に、ハッキリと聞こえた。