人形をボンヤリ眺めてると、後ろから制服の肘の部分を引っ張られた。


「桜土君、ごめんなさい!!」


後ろを見たと同時にガバッと頭を下げられ、呆気に取られた。


「き、桐生!?」


「あの私……名前で呼んでって言われた日……緊張とかパニックで、かなり無神経な態度とっちゃって………本当にごめんなさい!!」


深々と頭を下げる桐生に、こちらが悪い事をした様な感覚になる。


オレは慌てて桐生の顔を上げさせた。


「いいって桐生…オレ別に気にしてないから。もういいよ」


サッと、桐生の頬にかかった髪の毛を横に戻した。