海と桜の奏 ~Pure・Harmony~

黒木屋先生がオレに質問を投げかけるも、オレは“さぁ?”とだけ答えた。


ソッと鍵盤の上に両手を置く。


「え、まさか桜土君――――……」


何か勘づいたらしい桐生の声はひとまず置いといて、軽く目を閉じた。


大丈夫……やれる。


オレは……ピアノ演奏の新たな楽しさを与えてくれた桐生に、殻を打ち破るチャンスを与えたい。


きっと桐生の歌声は、音楽祭でも絶対飛び抜けた存在感を表すハズ。


それで少しでも桐生の自信に繋がるならと思って外山達に協力を頼んだものの……案の定アウト。


だったらオレはこうするよ…桐生。