貴方と出会ったのは
高校の入学式。

入学式が始まろうとしている中
私は…

「櫻体育館ってどこ・・・?」

入試で1回しか来たことない
広い高校の校舎の中で迷子になっていた。

地元から遠い高校なので
一緒に行く子以前に、知り合いがいなかった。

酷い孤独感と、体育館を探さなきゃという焦りからか、泣きそうで、無我夢中に走っていた。

その時だった。

目の前に、人の気配を感じた…が、気付いた頃には、もう遅かった。

ドンッ!

「いった…」

ぶつかってしまった。
もちろん知らない人に。

ぶつかってしまった人への申し訳なさと、恥ずかしさで、もう涙腺がぶっ壊れそうだった。

このまま知らない人に泣き顔なんて見られたら、それこそ涙腺だけじゃなくて、私のプライドもズタズタだ。

だから、走って逃げようとした。

迷子になっている私が逃げる場所なんてないけど、とにかくどこかへ行きたかった。

でも、足に力が入らなくて、立つことすらできなかった。

『大丈夫ですかぁ?』

関西弁の訛りなのか、イントネーションがおかしい人(ぶつかっておいてなんだが)に声をかけられた。

「ぶつかってすいませんでし・・・」

私は、謝りながら顔を上げた。

この瞬間が、貴方との初めての出会いでした。