「メルアド、教えてください!!」
彼は唐突に、しゃがんでいる私にメモとペンを付きだした。

こういうの、働いてるときにもあるんだなー
図書館の出会いかぁ、なんか、うーんと、


いろいろ思ったんだけど、目の前にいる彼は

なんとも若くって、初々しかった。

社会人4年生の私には、まだまだ将来とか社会とか見えてない感じに見えたけど、

見えないからこその希望とかでキラキラしてるようにも、見えた。

「ダメ…ですかね?」震えてる声が、
私の頭の中のぐるぐる考えてることを止めた。


彼は短髪で、焦げ茶のフレーム眼鏡をかけていた。

中肉中背、ちょっと筋肉質。

彼氏とかなり雰囲気の違う彼。

私、彼氏いるんで…と断る選択肢が
もっとも正しかったのに。

「ありがとうございます!!メール、また送ります!!」

はにかみながら走って帰る彼。