去年の夏に、私とヒロくんは出会った。

私の働いてる、図書館で。

夏休みの図書館は、一年で一番忙しい気がする。
昼間は賑やかなものの閉館前はいわゆる図書館らしい静けさを取り戻す。

そこがチャンス。たまった返却本を片手に十数冊一気に抱えてどんどん返本!

してたときだった。

重い重い子ども向けの昆虫図鑑を低い子供用の書棚に…あーもうちゃんとしまえない。
しゃがんで、無理矢理、図鑑を突っ込んだときだった。

「すみません…」

ん?なんか誰か聞いてきてる…

閉館まであと10分。この返却本を返しきらないと定時であがれない。
何が聞きたいの?こんな時間にレファレンスとかついてなさすぎる!!

と振り返ったら、大学生風の男の子が立っていた。

即座に頭はレファレンスモード。
大学生ぽい…なになに、レポートの書き方本を探してるとか?いやいや、経済白書の場所??
ペンとメモ用紙持ってるし?!
あーわかったわかった、講義で出た宿題の答え聞いちゃうやつだ。
自分の出身自治体の人口でも聞くの?!

「はい、何をお探しですか??」