――ヘンな人。



クラス替えからちょうど一ヶ月が経って、私たちのクラスでは席替えがあった。




それで、隣の席になった人。



私には到底理解不可能なことを平然とやってのけるこの人とは
気が合いそうにないな、と思った。





――なんでって。




「俺、苺嫌いなんだよねー」





友達(女の子)にもらった苺を困ったような顔で拒否する彼。




「(アホなのかな、この人)」






怪訝な表情をしながらも私は、
その彼のすぐ近くでもくもくと『ストロベリークロワッサン』を頬張っていた。



なんだか妙に居心地が悪くなって、私はさりげなく彼に背を向ける。






――苺、美味しいのに。




隣の席の方から視線を感じたけれど、
私は気にすることもなくただもくもくと食べ続けた。





その日から私の中で彼は、
“ヘンな人”というレッテルを理不尽にも貼られることになったのだった。