全体の鏡を区切り終わった頃……

「ガ…ガガ…ザー……残り、2時間………」

すでに、1時間が過ぎていた………

尾形は全体の鏡を見つめ、ダミーを探した。

しかし、全体の鏡に映るのは自分。

見ていただけでは、ダミーはわからない。

何か……何か手掛かりが………

尾形は必死に考えた。

鏡…ダミー…違いは……難しくなくていい……単純で、簡単な違いは………!!

「何だ……単純で、簡単なことだ……」

そう……

鏡とダミーの違いは……

"性質"

性質が一緒なら、ダミーとは言わない。

鏡同然だ。

鏡の性質は……

"反転"

ダミーは反転しないはずだ。

少しでも可能性があれば……

尾形はすぐに行動に移した。

警察手帳のメモ。

そこに「あ」と書き、鏡に映す。

1枚1枚、同じことを繰り返す。

何度も……何度も………

最初の縦の列……全て反転。

次に横の列を確かめる。

横の列……全て反転。

尾形はもう片方の、縦と横の列を確かめた。

しかし、結果同じ。

全て反転………

次は床を確かめる。

だが、不安が……

本当にダミーは反転しないのか………

尾形はそう感じながら確かめる。

床の鏡を、左下の隅から確かめ、だんだんと右へ進む。

突き当たったら、1つ前へ進み、だんだんと左へ進む。