黒いスーツは彼女とお揃い。
腰には細身の剣を差し、細い背中と、その頸には黒い短髪がなびいている。
「主…」
現れた救世主に、彼女、レインは無意識に息を吐き、へなへなと膝を折って座り込んだ。
「もーっ、だから一人ずつはやめようって言ったじゃないですか!
相手は変人で変態の凶悪犯なんですから、いくらレインでも一人でいかせちゃ危ないってんですよ!」
そう言いながら彼女を支え、涎がまとわりついた顔を持参したタオルで拭き拭きする、もう一人の救世主。
金髪の彼もまた、同じ黒いスーツを綺麗に着こんでいた。
「文句は警察屋に言うことだ。
もっと捜査員を回してくれていたら、確かにこんなことにはならなかった。
こんな変態を剣で切らせるなんてゾッとすると思って銃を勧めたが逆効果だったらしいな」
「そうですよ、きっちり謝ってください!」
「黙れ」
此方を振り返った青年は、暗闇の塗りつぶしに負けず血のような紅い両眼をらんらんと輝かせている。
その目が血に見えるときは、少なくとも彼が憤慨している証拠である。
「…ジョン・ドリック・セイバー。
永らく警察屋とは無縁のようだったが、ついにお前には縄がかかるらしい」
冷たい目線を刃のように差し向けて、ジン・アイヴァンスは差しぬいた黒の剣を獣に見せつけた。


