立ち上がる前に馬乗りになり、その喉元を鷲掴みにした。
汚らしい透明の液体が、彼女の胸元に落ちる。
「ハハ、馬鹿じゃねえの、俺相手に慣れねェ銃使って勝てるわけねェじゃん、ハハハ、なに、練習台にでもしようと思ったわけェ!?」
「……」
触るな寄るな汚い来るな。
喋るごとに顔を近づけてくる獣に対し、彼女は塞がれた喉で思いつく限りの悪態を並べた。
呪えばたまに適うこともあり。
まあ神様の気が向いたときに限るが。
涎が終に彼女の顔にまで降りかかる。
生温かいそれがねっとり肌に吸いついてくるのが、たまらなく気色悪い。
べろべろと顔の上を舌が這った。
女に屈辱と苦悶を味わわせるのが大の好きらしい、獣は暫くそれを楽しんでいる。
夢中になって彼女の腕がすっかり意識から除外されていた。
気付かれないようにこっそりとスーツの中に手を伸ばすと、腰に仕込んだ本業の『それ』が呼ばれた犬のごとく彼女の手に寄ってきた。
素早くそれを引き抜き、闇に溶けるようなその黒い刃を以て頸を抑える腕を遮断する。
血飛沫が舞った。


