「良心があったのなら、殺して上がればよかったのに」
アルファは座り込んだ彼に一丁の拳銃を手渡した。
弾はまだ十分あった。
焼く以外にだって、楽にさせる方法はいくらでもあったのだ。
どちらにしろ痛いに変わりはないが。
「あるわけないだろ、そんなもの」
「…そうですか」
「…死ぬことより、生きることの方が怖いんだ…神が言うには、な」
「………」
アルファはまたしても溜息をついた。
もしかしたら自分が幸薄いのは彼の所為なんじゃないかと最近疑っている。
『神が言うには』、死ぬより生きるが辛いらしい。
四肢を引き摺って生かしたことこそ、彼の私的な復讐と腹いせである。
(それをまだ実感できない様じゃ、まだ君は死ねませんね)
「…ああ、気付かなかった」
「…え?
なんですか」
「ここ、結構波の音が煩いんだな」
「ああ…うん、そうですね」
ここは紫の海、帝国である。


