全身が熱い。
痛くて苦しくて、もう動けそうにない。
セイバーにはもう両手が無いのだ。
両足も無いのだ。
生きるか、死ぬか?
どちらが楽だ。
どちらが最良だ。
どちらがより、人間らしい。
「………怖いだろ」
ジンは暫く迷った儘の獣の背中に吐き捨てた。
「怖いだろ、この状況で、生きるを選ぶも死ぬを選ぶもたまらなく怖いだろ」
「…あ、ああっ、あああ…」
「頭を焼かれるのは怖いだろう、意識が無くなるまで自分の身体が溶かされていくのを見守らなくちゃならないから。
身体を引き摺って生きるのも怖いだろう、凶悪犯たるお前を、その四肢の無い身体を一体誰が助け起こしてくれるか、まったくわからないからな」
気付けば、獣は泣きだしていた。
全身を焼かれ、散々に甚振られてもまだ涙は枯れてはおらず、哀れで、滑稽さにジンはやっと『彼らしく』笑った。
「ああっ…あ、ああああっ、あっ」
涙と鼻水を引き摺って、石畳に伏せる獣は苦しい肺を無理矢理運転させている。
咽ぶ。
血と、炎の臭いに。
「…良かった。
それでお前は救われた。
…アル、警官を此方に呼んでくれ。
ジョン・ドリック・セイバーはここで逮捕される」


