次の日の塾で、 片桐はバレないようにイヤホンをはめて頬杖をついている。 山本センセはいつも通りの口調で数学の説明をしている。 俺と目があうとすぐにそらす。 俺はぼんやりと丁寧に書かれたホワイトボードを眺めていた。 「じゃ、次の問題はー…杉下くん。答えて」 片桐がこちらを向いた。 俺は席からゆっくり立ちあがった。