しばらくの沈黙。 自転車の車輪がまわる音だけが響いている。 「ずっと好きだったの。お姉ちゃんの隣で笑っていたとしとも。だから、最後のチャンスにためしてみたんだ」 「……」 「簡単に喰いついたよ。バカみたいに。終わったあと……泣いてたけど」 「……」 「10年後には忘れるかなぁ?」 それは 君の義理兄さんが? それとも君自身が? 片桐は泣いていた。