「うっそー、マジ知らない場所まで来たじゃん。ここどこよ?」

「しらねーよ」


俺は汗だくでゼェゼェと荒い息をしながら答えた。

もう日も沈みかけている。

辺り一面に広がった伸びきった草がオレンジ色に染まって眩しい。

いくつもの鉄塔が並ぶ此処は誰もいない俺たちの知らない世界。

「何にもないじゃん」

「文句あるなら、もっと具体的に場所言えばよかっただろ」

「ううん。いいの、此処で」

その声は片桐に似合わず小さな大人しい声だった。