「いいから。さっさと行こう。」
「わかった」
結音はくすっと笑うと私の手を引っ張った。
「あ。待った」
「なーに?階段こっちだよ」
いきなり立ち止まった私を不思議そうに見つめ、行こうとしていた方向を指差す。
「結音よ。」
「な、なに」
「先行って。私は2メートル後に付いて行く」
「なんで!?」
「…はあ?」
「えっ」
私は“何で分からないの?”という顔を結音に向け、これでもかと眉間に皺を寄せた。
結音は私の言葉と今の表情の理由が理解出来ないようで、少し焦っている。
「今から私たちはどこに行くの?」
「え…屋上でしょ…?」
「さっき自分の口で言ってたけど、その屋上に行くまでに何があるんだっけ?」
「え、ん?何がある…?え、階段?」
「…」
分かった。ちゃんと言わなきゃ結音くんには理解できないと…
はあ…
「女の子」
私が一言呟くと、結音は「あー」と目を反らして顔をひきつらせた。
やっと分かった様だ。
最初からだけど、今だに私に突き刺さる(特に女の子の)目線は鋭きものである。
階段下にいる女の子達は呀狼の熱烈なファン(?)なのだろうから、もし私が結音と一緒にいる所を見せようものなら(ここでも結構なモノであるのに)階段下の子達はいったいどんな目で見てくるであろうか…。
考えただけで恐ろしい。
第一、こんなことで女の子に恨まれたくなんかない。私はまだ人生を爽やかに謳歌していたい。←
