「あはは…うーん、そーだね。確かにこの視線の多さは、慣れてるはずの僕でさえもイラつきを感じるな。それに……せっかく真幸と二人きりなのに、これじゃあ台無しだしー…」
最後らへん声低くて聞こえなかったけど、結音もイラついてるのな。
「あ!じゃあ屋じょ、……。
…ダメだっ、皆がいるんだ!」
ひらめいたように口を開けたが、途中で止め、何やら口元に手をあててゴニョゴニョと呟いている。
「屋上?」
「ううん、違う!」
「いや、今絶対に屋上って言ったよね。というか屋上良いじゃ「ダメ!!絶対にダメ!!」
………。
「…どーして?」
「あ、いやーえ、っと…ほら…さ…寒いから!」
「………」
「ほらもう冬だしさっ、寒い中わざわざ屋上行って葵が風邪でも引いたら困るし〜!」
明らかに何か隠してるな。
まぁ、あえてそこには触れないでおいてやろう…気になるけど。すごく。
「分かったよ。そこまで言うなら、屋上は止めよう」
だからあからさまに安心しないでくれ。
普段は顔色ひとつかえないで何でもするってのに、私には隠し事ができないようだな、コイツ。
可愛いんだか何なんだか。
