WHITE BEAST




「ねぇ、ゆーちゃん」
「…ん?」
「どこまわりたい?」

私の顔を覗き込みながら結音が聞いてきた。
その質問に「んー」と考える。
そして考えているうちに思った…



いまだに妙な視線を感じるのは気のせいだろうか…?

辺りに目を向けると、周りのほとんどの視線が自分いや、自分達に注がれている事に気が付いた。


私は思わず立ち止まる。

…なんなのさ、いったい。

なんだってんだこの学校は
校門の時といい、今といい。
何でこんなにも視線を集めるのか。




…結音と一緒にいるから、か…?

そうだよ、この人(一応)呀狼のメンバーだものね。
そんな人と一緒に歩いているあの女は何者だ、とか思われているのだろうか…。

特に女子の目が多いな。と言うか鋭い…気がする。

結音…お得意の女装、してくれないか?
そしたら幾分かマシになる気がするんだけど。

…これだから顔が良い奴は。




「どうしたの?」

いきなり立ち止まった私を不思議そうに見つめる結音。



「凄く見られてるよ、ね。もはや若干怖い」
「あぁ。まあ、まゆきちが可愛いからね〜。僕嫉妬しちゃうゃ〜!」
「…嫌味かテメー」
「ちょ!?」
「絶対、原因はあなたにあるからね。冗談言ってないでさー、どっか人目が気にならない場所無いかな…文化祭に来てなんだけど」


ちょっとこの視線の多さは何か、居た堪れない。

ちょっと休憩はさもうぜ。





来てまだ数分だけど…