「いいの?じゃあお願い」
「ん、忘れ物って何?」
「髪ゴム」
「……」
耳元を指差しながらアハッと笑う私を、玲は呆れた顔で見てきた。
「ちょっと警戒心無さすぎ。気を付けてよ」
ありゃ…怒られてしまった
「うん、ごめん」
「…待ってて」
そう言いながら階段ではなく、リビングに足を向けてそのままリビングに入っていった。
私は玄関のドアを閉め、玲が髪ゴムを持ってくるのを座って待つことにした。
玲は私が珀獣のメンバーであることを初めから知っている。
ついでに言うと、お母さんとお父さんも知っている。
家族には全て、包み隠さず話していて、相談にものってもらったりしちゃってる。
玲なんか緋龍の幹部であるから、そっちの情報は大体把握しているらしく、珀獣に関わる事は全て教えてくれる。
珀獣の名前が知れ渡っている事も、写メが出回っている事も玲から聞いたことで、実際にその写メを見せてもらった。
ちなみに、緋龍も珀獣の正体を探るべく動き始めているらしい。
こんな写真出回ったらそりゃー嫌でも調べたくなるよね。
玲は絶対に仲間を売ったり、仲間の不利益になる事は許さないんだけど、唯一珀獣に関してだったり、私の事は仲間に言ったりはしない。むしろ私の事は何かと助けてくれている。
身内だからだろう。私としてはスゴく助かってる。
けどやっぱり胸のどこかに罪悪感は存在するわけで。
