WHITE BEAST




「やべ、…髪」

私は素早く両手を首すじに持っていった。
危ない危ない…風のお陰で気が付けた。良かった。


私には耳の下辺りを隠さなきゃならない訳がある…
特に“不良グループ”に関わりがある人達に会うかもしれない今みたいな時は、注意しなきゃいけない。



絶対にこの王冠-CROWN-のタトゥーを見られるわけいは、いかないのだ。



これは“珀獣”というグループのメンバーである大切な証であり、私の誇るべきもの。

といっても私は情報専門で喧嘩は一度もしたこと無い。
ちょっと人より機械系に強いから、主に情報収集したり、珀獣の情報を漏らさないように努めていた。


珀獣は影のような存在で、その名を知っている人間は極わずかであった。

だが今では全国的に珀獣の名前が轟いているのだろう…



もはやそっちの世界で珀獣の存在を知らない人を捜す方が、きっと困難だと思う。