ヒトメボレ




「あのっ、…入江くん!」



帰りのHRが終わって教室から出て来た彼を引き止めた。



振り向いて私を見た入江くんは、そのタレ目を大きく見開く。



「あの…少しだけ、いいですか?」

「え、俺?…あー、うん」



高い身長にスッと伸びた手足。



幅の広い肩に長い首。そこに乗っているのは小さな顔。



スタイルだけでなくて顔も綺麗に整っている。



そんな、誰もが目を引くような人に……私は恋をした。



ずっとずっと、好きだった。



だけど、その恋は……



今日で終わり。



私は、終わらせる為にこれから告白するの。



……あーもう。



それだけで泣きそうになる。



きっと、まだ好きでいたいって体が言ってる。



だけどね、このままじゃ私が何も変わらない気がするんだ。



1年以上も好きなのに、ただ見てることしか出来なかった。



話しかけるのだって、今が初めて。



好きなのにいつもうじうじして、そんな自分が嫌いだった。



入江くんのこと、大好きで仕方ない。



けどね、きっとこの片思いは……私を成長させないから。



だから



今日で終わらせるの。