わたしは、学校に着き名簿を見た。
クラスは一年五組。
担任…佐藤。
どこにでもあるような名前だった。
佐藤だけでは、男か女かも分からない。
とりあえず式が終わり、教室に連れていかれた。
担任がまず自己紹介をする。
佐藤拓磨。
生徒の中にもいそうな名前だった。
歳は32。
髪の毛はボサボサで着ているスーツもネクタイが若干曲がっててこの日のために新調したのか、着こなせてない。
そんな先生を見てると、どこかお父さんを見ているようだった。
お父さんとの記憶はほとんどないけど、いつも出掛けるときに着ていたスーツは綺麗にされていて、しわ一つなかった。
でも、いつもネクタイが若干曲がっていた。
それだけは印象に残ってて、今でも覚えている。
「入学したてで不安なこととかあると思うけど、どんどん相談乗るから、みんなよろしく」
わたしは今まで経験したことがないような胸の痛みで、ほとんど先生の話を聞けてなかった。
「じゃあ、先生!好きな子が出来たら相談してもいいっすか?」
バカな男子が聞いた。
「うーん。それは自分たちで解決してください」
「はぁい…」
バカな男子がちょっと落ち込みぎみで、返事をした。
このクラスでやっていけるのだろうか…
さっきの胸の痛みはなんだったのか…
不安がたくさんあるけど、今日から一年間わたしはこのクラスの一員だ。
