桜舞う、絶好の入学式日和…
わたしは新しい制服に身を包み、どこか期待をしていた。
なにも期待をすることなんてないのに。
「しおりー?遅れるよ」
「うん。分かった」
わたしの姉、宮崎香織。
もう社会人で、けっこうな大手の会社で事務をやっている。
まだ入社して2年弱の新入社員。
いろいろ覚えることがあって、大変そうだけど、先輩がみんな優しい人らしくて、楽しくやってるみたい。
「詩織、乗せてってあげよっか?」
「大丈夫だよ」
「そっか。じゃあ、行ってくるね」
「うん。行ってらっしゃい」
「しおりも気を付けてね。入学式行けなくてごめんね」
「全然いいよ。もー早く行かなきゃ遅れるよ」
「あ!やば。行ってきまーす」
姉ちゃんはいつも時間にルーズだから、いつもヒヤヒヤするよ。
よし、わたしも行こう。