「…………」 私は、何も言えなかった。 その言葉に、答える声を失ったまま――…呆然と、西山を見つめる。 「…………」 西山も、その後は口を開かなかった。 ただ真っすぐ、私の事を見つめ続ける。 「………」「………」 やがて――…、 お互いに吸い寄せられたかのように 一つになる影を。 月だけが、 優しく見守っていた。