「大丈夫。お化けはいない。いないったらいない……っ!!」
必死で念じたその瞬間、
「藤野さ〜ん!!」「ぎゃーっ!!」
テニスコートから一歩踏み出した私は、
死角から突然飛び出してきた影に抱き着かれた!!
口から迸しる悲鳴。
取り落としたかばんの音にすら怯え、目からボロボロと涙がこぼれ落ちる。
「ぅあっ……ふ、ふぇえんっ」
「え、お、おい?」
私が泣いたのに驚いたのか、すぐに離れたその感覚。でも、幽霊が怖いのは変わりないもんっ!!
私は両手で耳を塞ぐと、
「ごめんなさい!!幽霊さん、ごめんなさいっ!!」
一生懸命、声に出して念じる。