息を切らし、全力疾走で向かったテニスコート。

夜だからか、ライトアップされた三面のコートには――…


…――誰も、いなかった。


「はぁ、…っ、よかったぁ……」

私は肩で息をしながら、心の中で安堵した。

苦し紛れだったとはいえ、『見に行く』って約束したのに……その約束を破ったうえに待たせるとか……最低じゃん。

待ってなくてよかったよ、うん。

…………………。

『待ってるかも』って期待したぶん、ちょっと心の奥で残念がってる自分もいるけど…それは無視。