五十嵐くんはあたしの手首を離し、もう一度ひざにひじをついて、あたしを見あげた。


「あのとき、たぶん……。
持ってかれたな」


「……え?」


「俺の……心」


そんなことを真顔で言われるなんて……。


もう、めちゃくちゃ……恥ずかしいっ!!


「ほら、すぐに。
こうやって赤くなるとことか……」


五十嵐くんに頬を触られそうになって、思わず身を引いて……スッとよけた。