そう聞く五十嵐くんの声や口調はとても静かで、でもそれが逆に、五十嵐くんの怒りが大きいことを表しているようで、あたしはビクッと体を震わせた。


「あ、の……」


楓ちゃんのことを、今ここで、五十嵐くんに言っていいのか、わからない。


もし楓ちゃんが、自分の気持ちを五十嵐くんに隠していたら、今ここで、あたしが言っていいはずがない。


どう……しよう……。


まさか……こんな風に……真正面から聞かれるなんて、思ってもみなかった。


五十嵐くんにとっての、あんなコトは、日常茶飯事で、ただの気まぐれだと思っていたから。