そう思うあたしをドア付近の壁に押し付けて、五十嵐くんは口端を持ち上げ、クスリと笑う。


「この俺が。
気に入った女を、逃がすと思うか?」


「え……。
あの……」


「わけを言え」


ダン! っと壁にこぶしを押し付けて、五十嵐くんは鋭い瞳をあたしに向けた。


「俺のことを好きだと言ったこの口で。
付き合えないと言う理由は、なんだ?」